白血病だからって

こんばんは、誰が呼んでるか知らないブログですが思う所あったので更新します。


最近はソシャゲにも触らず、据え置きゲームにもノータッチでひたすら転職のためにプログラミングを頭に叩き込む毎日を送ってます。

エラーが出るとオンボロノートPCに八つ当たりしたくなるけど、グッと堪えてエラー箇所を見つけた時の快感が、射精に近しいので続いてます。(Progateっていう勉強サイトメインです、興味ある人は触ってみてね)


本題ですが僕は今、多能工と呼ばれる建築の事ならほぼほぼなんでもやりますよという、めちゃくちゃな親方の元で働いてます。

小さな民家の修繕から、新築マンションの外壁工事までとにかく色んなことをやる不思議な会社です。


東北6県に新潟を足した面積を超えるこの広大な大地で、色んな土地に出張へ行き色んな現場を見て自分なりに出した結論がこの業界からおさらばすることでした。


とかいうクソなげぇ前置きが面倒くさくなってきたんで本題に入ります


僕らの仕事場である現場には、管理会社が入る。工期の指示、現場の段取り、職人の手配、必要とあれば現場の雑務ですらこなす人種が現場監督だ。

元請けと、現場で手を動かす職人の間に挟まれる中間管理職的なポジションなんだがほんとにまぁこの2年近く働いて「この人イキイキしてんな!!」と思った人がたったの一人しかいない職種である。

職人が始めての現場に入る際、新規入場者教育という、必要書類に必要事項を記入してその現場の詳細を説明してもらう一連の流れがあるのだが、今回当たった現場監督はこちらがまだ書類への記入を始めたばかりの段階で「手を動かしながらでもかまわないので聞いてください」と、明確に聞き取ろうとしてやっと認識できるくらいの声量でそう囁いた。

正直、手を動かしながら細かい説明を聞く自信ほぼないし聞き流してるも同然だが、こちら側のことなど意にも介さず、見えない壁越しにでも話してるのでは?と思いたくなるほどの弱々しい声で説明を続ける白髪混じりのおじさん。

生気も感じられない彼から一通りの説明を受け、いつものように作業をこなしていったが、事前に現場側に頼んでいた本来なら終わっているはずの下準備が手付かずで、その日の作業が打ち止めになった。

偶然僕らの会社に仕事を回している一次会社の工事担当者も来ていたので、うちの社長と二人で現場監督を詰めてなんとか明日の段取りを決めていた。


ただでさえ、こじんまりとした彼の体がますます縮こまるのを感じた。


道具を片し、いつもより少し早いが帰路に着こうとした矢先、社長が明日の段取りのために車内に乗ってきた。

一通りの打ち合わせをして冗談好きな社長が口を開く。

「いやぁやっぱ○○さん(一次の担当者)凄いわ!ここの監督、白血病らしいんだけどさっき下準備が終わってないのにかこつけて『こんなんじゃ困るよ!白血病だかなんだかしらないけど、仕事はちゃんとしてよ!』だって笑すげえよな笑笑」

喜色満面といった表情で共感を求める社長に苦笑いを返すしかなかった。


もちろん病気だからと必要以上に特別扱いされるのも本人は辛いのかもしれないが、それでもそれを引き合いに出す必要はあったんだろうか。

帰り際、下準備のために重い道具をひっさげた現場監督を見る。

還暦前後にしか見えない彼の作り笑いを浮かべ、絞り出すような声で発した


僕がやりますから」


その一言が今もまだ頭の中をぐるぐるぐるぐる回っている。