左足壊死ニキと終点渋谷
左足壊死ニキを知っているだろうか。
数年前ネットを騒がしたホームレスの男性だ。
https://dic.nicovideo.jp/t/a/左足壊死ニキ
(詳しくはこちらから。尚グロ描写が苦手な方はリンク先含め、今回のブログを読まない事をおすすめする
大阪土産を友人に渡した後、渋谷周りで自宅へ帰ろうとしたところ当てにしていた渋谷からの深夜急行バスがコロナの影響により3/30から運休になっていた。
家に帰れない落胆よりも久々の深夜渋谷探訪の出来る喜びで歩を進める。
そもそも渋谷自体を練り歩くのが久しぶりなので、渋谷スクランブルスクエアも、移転したドンキ本館にも驚いた。
そして街を練り歩く若い人の格好も随分変わった。
本当に和製ラップの影響が大きいのかBボーイを彷彿とさせる若い子がそこかしこでたむろしていた。
一通り街を練り歩いたところでバス停のベンチで背を丸めながらひたすら脚を掻いている30-40代の男性に目がいった。
キャップに赤いトップス、白の短めのハーフパンツにクロックス。
まだ服は小綺麗だが周りに置いてる荷物や彼の纏う空気そのものが家を失った人達の持つ独特な悲壮感と似た雰囲気を醸し出していた。
彼はそれはもう物凄い勢いで脚を掻いていた。
今思い出して、これを書き綴ってる時ですら脳裏に鮮明に蘇るほどに。
右脚のももの外側をひたすらカリカリカリカリと掻くものだから、まじまじで見つめてみた。
まだらな赤い斑点に、掻き続けて剥けた表皮から赤い肉がこちらを覗いていた。
しばらく見ていると彼は背を曲げて突っ伏したまま寝てしまったようだった。
棒立ちで疲労した上に、始発までの3時間そこらをネカフェで潰してその場から離れた。
早朝5時。
バス停のベンチに彼の姿はなかった。
どこに消えたのかも分からない。
遠くから聞こえる喧騒。
見れば黒人同士で「pussy!!」「nigger!!」と繰り返し罵り合っている。いくら酔ってようともう少し、罵倒する際の語彙を増やした方がいいのではないだろうか。
街は駅へ急ぐ社会人達と、気怠げに駅へ向かう酒飲みで混沌としていた。
帰路に着く電車で座席に腰を落とし、1日を振り返ろうとしたその時、数年前の記憶が鮮明に蘇った。
忘れもしない山手線渋谷駅、突如乗ってきた巨漢と彼の左足をぐるりと何重にも巻き付けるビニール袋。
遅れて鼻をつく人が、生き物が生きながら腐っていく臭い。
浜松町で象と見紛う程に膨れた左足を引きずりながら降りていった彼は、生きているのだろうか。